開発を通じて見えた、ゲーム制作のあるべき姿

サークルが培った技術の集大成

東京工業大学デジタル創作同好会 traP の後藤氏が、大学に入学する前から温めていた“画面をフリックすると背景が動くアクションゲーム”というアイデアをもとに作られた『Ninja Flicker(ニンジャ フリッカー)』。同ゲームはリーダーの後藤氏による指揮のもと、約 1 年半の歳月をかけて開発された。

そんな本作は、2015 年にパソコン向けに配信された前作『Ninja's Revenge(ニンジャズ リベンジ)』をさらに遊びやすく発展させた作品である。プラットフォームをパソコンからスマートフォンに変更したことで、タッチによる簡単な操作でのプレイが可能になり、より幅広いプレイヤー層に遊ばれるようになった。

後藤氏
「前作はマウスを使っていたので操作が難しかったのですが、スマートフォンではフリック操作で楽にプレイできます。プラットフォームの変更は、とても理にかなっていました」

キャラクターが自動で走り続けるというユニークなシステムを採用したのも、快適なプレイを実現するためだ。このシステムによって「ノンストップで走り続けて、スピーディーにステージを攻略するという楽しみ方も生まれました」と、後藤氏は振り返る。前作で失敗した部分の反省を活かして、新たなゲーム性を切り拓いた『Ninja Flicker』は、サークルがこの数年で歩んだ歴史の集大成とも言える作品だろう。

チームとともに練り上げていく

しかし、前作での経験があったとはいえ、『Ninja Flicker』の開発がスムーズに進んだわけではない。後藤 氏によると「フリック入力のプログラムは、僕たちがイチから組みました」とのこと。ゲームの進行とともにキャラクターが習得するアクションについては、様々なアイデアが提案された。

後藤氏
「操作方法とキャラクターの動作については、チーム内で何度も協議を重ねて、スマートフォンというプラットフォームにマッチするような形を模索しました」

ゲームには壁キックや、鉤縄を投げながらのジャンプ移動、手裏剣を使った攻撃など、忍者らしい動きが採用された。チーム内の意見交換の成果もあり、アクションには統一感が生まれ、作品の世界観をより際立たせることができた。後藤氏も「キャラクターの動作の質が全体的に高くなったので、ゲームとしての完成度も格段に上がりました」と、満足気に教えてくれた。

作りたいものを作るという精神

前作からのシステム改良が功を奏し、ゲーム性が向上した一方で、難度が上がるという問題も。そこで本作では、ステップを踏んで操作方法を説明し、プレイヤーが少しずつ操作に慣れることができる流れを構築。さらに、ゲームにはキャラクターの移動速度を遅くするボタンも実装した。

後藤氏
「アクションゲームが苦手なプレイヤーに配慮して、いろいろなプレイヤーがそれぞれ自分のペースで遊べるようにしたんです」

このボタンに使用制限はなく、ゲームをクリアするまでつねにスローのままでもプレイできる。そのため、ふだんはゲームで遊ばないという人でも、手軽に楽しめるようになっている。しかし、後藤氏は『Ninja Flicker』をあくまで“作りたいものを作る”というスタンスで開発したため、ユーザーの要望をあえて取り入れなかったこともあると語った。

後藤氏
「ユーザーの要望をそのまま採用するだけでは、ゲームは面白くならないと思います。絶対にブレない部分は決めたうえで、取り入れるべき意見をきちんと取捨選択することが必要なんです」

そんな開発チームのこだわりがあったからこそ、『Ninja Flicker』はオリジナリティー溢れるユニークな作品に仕上がったのだろう。traP は大学のサークルであるがゆえに、開発チームは世代交代によりメンバーも入れ替わるるが、その意志は今後もしっかりと受け継がれていくはずだ。

Ninja Flicker
フリックで背景を動かすことで忍者のキャラクターを操作。城の最上にある宝物の入手を目指し、城内を探索する。ゲームが進むにつれ、忍び道具や忍術を使えるようになるため、実に多彩なアクションが楽しめる。