“音”と“リズム”、そして見た目も意識した音楽ゲームを届けたい

数ある作品の中でトップ 3 に選出された傑作

内田氏
「体が自然と動き出すような音楽ゲームを作りたかったんです」

そう語ったのは、『PARADE!(パレード)』の生みの親、内田達也氏。取材中、Google Play Indie Games Festival 2018 でトップ 20 に選ばれたことを「素直にうれしかったです。選ばれてホッとしています」と、謙虚に答えた。

最終的に本イベントでトップ 3 入りを果たし、大勢の人に高く評価された『PARADE!』は、内田氏の自宅で作られたという。「ふだんは結構な引きこもりなので、家にこもって黙々と作っています。たまに外に出たときは、カフェなどに入り浸って作業を行ったり……(店側から見ると)邪魔なやつです(笑)」と、冗談交じりに応えた内田氏だが、作品にかける情熱は本物だ。

リズムを大切に。かつ、見た目で興味を引かせるデザインを意識

内田氏
「体が自然と動き出すような、リズムを記憶してそれを再現するという音楽ゲームを遊びたくてこのゲームを作りました。目で見て押すのではなく、ちゃんと音を聞くという要素を大切にしたかったんです」

“音ゲー”と呼ばれる音楽ゲームの多くは、多数の楽曲の中から好きな曲を選択し、画面の上部や中央から出現するノーツに合わせて画面をタップしたり、スライドさせたりしてプレイするゲームが多い。曲によっては体が自然と動き出すというよりは、特定の位置を注視してせわしなく指先を動かし続ける展開になりがちである。しかし、内田氏の『PARADE!』は、そうしたゲームとは一線を画すデザインになっており、先行するキャラクターのリズムを真似てタップやスワイプをしていく作り。リズムに合わせて操作を行うほかに、徐々に増えていくパレードの動物や周囲の様子を楽しむ“間”が存在する。

こうした、動物たちがパレードをしながらプレイヤーの後をついてくるという発想は、いったいどんな経緯で生まれたのか? その質問に対して内田氏は、「最初に楽しげなパレードを見たときに、「遊んでみたい!」とプレイヤーの皆さんに思ってもらえるようなものを目指したんです。動物が群衆になって後ろをついていくという、目を引く見た目を意識したのがきっかけですね」と、語った。

さらに内田氏は「動物といっても、ゾンビやニンジャ、ロボットなんかも出てきてカオスなんですけど(笑)」と一言つけ加えて笑った。確かに、動物以外のキャラクターや、ティラノサウルスといった恐竜も登場するため、非常ににぎやかなパレードになっている。こうした、様々なキャラクターがぞろぞろ後をついてくるという見た目のインパクトは、まさに内田氏が先ほど語った、楽しげなパレードを見て「遊んでみたい!」と人々に思わせるには十分な要素だろう。同様に、ミスをすると UFO に連れ去られてしまい、ゲームオーバーとなる演出についても「最初、UFO はいなかったのですが、何か理不尽なことが起こってほしいなと思ったんです。結果、ミスをすると UFO に突然さらわれてしまうことになりました(笑)」と、楽しそうに語った。

そんなユニークな遊び心を持っている内田氏だが、やはり 1 番のアイデア部分は “音楽とリズムをちゃんと聞く” という一点にあるようだ。「音を聞いて、体が自然とリズムに乗ってしまうという、人間の原始的な部分を体感できるものを目指した点が、このゲームのこだわりです」と、自信をもって答えた。

これからの展開への意気込みも十分

内田氏は現在の完成度に満足した様子はなく、今後もどんどん新キャラクターの登場や、ステージ背景の種類の増加など、新展開を見せていきたいという。

内田氏
「今日 (イベント当日) のお客さんはゲームが好きな方が明らかに多くて、緊張しています(笑)皆さんすでにゲームの上手い方が多いので、玄人だなと感じていますよ」

イベントの参加者は上手な方が多かったと述べた内田氏だが、ふだん自分に届いている声の中にはゲームが難しいという意見が多いとも。そのため、そうした意見も加味して、例えば難易度ノーマルの難易度をもう少し下げるなど、難易度の調整もまだまだ必要だと感じていると教えてくれた。

そうした今後の課題のほか、内田氏は「今日は刺激を受けましたね。知っていたゲームも結構あるのですが、皆さん個性があって参考になります」と、他のデペロッバーの展示ゲームに対しても興味深げな姿勢を見せた。同時に、今後は『PARADE!』とはまったく別のパズルゲームなども作ってみたいという。具体例として『モニュメントバレー』(※空想上の建造物や、ありえない幾何学模様のもとで冒険が展開するパズルゲーム)が好きだと教えてくれた内田氏は、いつか『モニュメントバレー』のような不思議な世界観のゲームも作ってみたいと、創作意欲を燃やしていた。

発展していく『PARADE!』はもちろん、高い開発力を見せた内田氏が挑戦する新作など、今後の内田氏の活動からも目が離せない。

PARADE!
30 体もの動物が登場し、様々なリズムを奏でる音楽ゲーム。先行する動物のリズムを真似て、指示通りにタップやスワイプを繰り返してパレードを大きくしよう。プレイの時間帯によってステージが異なるなどの変化も楽しめる。