あえて描ききらないことで、記憶に残るゲームを作る

これまでの作品以上に精魂を込めた

おづみかん氏が『in:dark - インダーク』の開発を始めたのは、今から約 2 年前。“肉体を守りながら魂で敵を攻撃する”というアイデアを閃いてから、1 年ほどの期間を掛けて作り上げた。これまで 3 年以上のあいだ、ほぼ 1 人で 4 作もの作品を手掛けてきたおづみかん氏だが、『in:dark – インダーク』は開発してきた作品の中でも、最も手の込んだものになっているという。

おづみかん氏
「こんなに時間をかけて開発したゲームは初めてです。これまで開発してきた作品のノウハウを詰め込みました」

ターゲットとして設定したプレイヤー層は、10 代~ 20 代後半の Indie Game ファン。ゲームへの没入を促すため、プレイヤーが自発的に作品の世界について考察できるような作りにデザインすることを心掛けながらも、魅力的な世界観の構築を目指したそうだ。

それほどまでに考え抜いて制作した甲斐もあって、Google Play Indie Games Festival 2018 では、見事トップ 20 に選出された。おづみかん氏は「まさか選ばれると思っていなかったのでびっくりしました」と謙遜しながらも、嬉しそうにはにかんでいた。

ほぼ 1 人で作り上げることの苦悩と苦労

音楽以外の要素はすべておづみかん氏が1人で制作した『in:dark - インダーク』。ゲームを遊ぶ中で“自然に世界観に浸れるように”と、ゲームをプレイするほど、だんだんと作品のバックストーリーを説明するドットイラストが開放されていくという、独特な仕組みが取り入れられている。

おづみかん氏
「アクションだけのゲームでは飽きられてしまうと思ったので、ゲームの内容に沿った形で、遊んでいる人の意表を突くような仕掛けを盛り込みたかったんです。そこで、イラストで物語を描くという、少し変わった要素を考えました」

彼の狙い通りに、会場では熱中してプレイする来場者も多かった。さらに、ドットイラストの表現にもこだわり、キャラクターのビジュアルをプレイヤーに愛着を持ってもらいやすいものにしたほか、見やすさを意識して使用する色を制限。おづみかん氏は、画像編集ソフトを使ってきらびやかに加工することで「プレイヤーの記憶に深く印象付けられるのではないか」と考え、まぶしさを感じるような絵作りを目指したという。これら独自の工夫で、プレイヤーの記憶に残る作品を作り上げている。

そうしたこだわりを貫ける一方で、ほぼ 1 人での制作には、作業量の多さやクオリティーの管理といった苦労も伴う。なかでも、ゲームの難度には不安が付きまとった。

おづみかん氏
「自分でテストプレイをするしかなかったので、難度の設定が適切にできているか不安で……。だからこそ、こういったイベントでプレイヤーの皆さんの生の声を聞けるのはとてもいい機会だと思います」

イベントで自分のゲームを展示し、実際にプレイしてもらっているところを見るのも、ゲーム作りの一環だと考える。そうして、おづみかん氏の作品は進化を続けていく。

尽きることのない創造心でさらなる可能性を

続編がリリースされてもおかしくないほど、高い完成度に仕上がっている『in:dark - インダーク』だが、おづみかん氏は「自分の中ではもう完結したと思っていて、いまは新規のアクションゲームを制作中です」と、早くも次回作の開発に取り掛かっていることを明かした。彼をゲーム制作に駆り立てているのは、ほかでもない“創造心”である。

おづみかん氏
「次回作でも、プレイヤーのことを最優先に考えながら、“僕らしいゲーム” を作っていきたいです」

大学生のころに、フリーで使うことのできるゲームエンジン “Unity” に出会ってゲーム制作を始め、3 年以上、アイデアが湧くたびに新作に取り掛かってきた。そして今、新たなアイデアを煮詰めながら、5 作目の制作に心血を注いでいる。「自分の作った Indie Game が、より多くの人に遊ばれるようになってほしい」と、おづみかん氏は新作に懸ける野望を語る。その瞳には、新たな Indie Game の可能性の光が宿っていた。

in:dark - インダーク
魂と身体が分離した少女を操作しながら深海をひたすら潜っていく、下スクロールアクション。身体を攻撃されないように、敵を倒すことのできる魂を操って危険を乗り越える。ゲーム展開のテンポがいいため、何度でも続けてプレイできる。