ユーザーが“一生遊べるゲーム”を作るために

大ヒット作を生み出したクリエイターの次の一手

全世界で 3500 万ダウンロードを達成した、大ヒットタワーディフェンスゲーム『にゃんこ大戦争』。このゲームのプロジェクトマネージャーを務めた升田貴文氏が独立し、新たな仲間たちと手掛けたのが、トップ 20 に選出された『ぼくとネコ』である。

本作は『にゃんこ大戦争』と同じく、ネコを題材にしたゲーム。さらに、ジャンルも同じタワーディフェンスだ。升田氏は、あえて同じテーマとジャンルで新作を作った理由を「ネコとタワーディフェンスが大好きだから」と明かしてくれた。

升田氏
「ネコは最高の癒やしだと思います(笑)。本作でも、個性豊かなキャラクターにほっこりしてもらいつつ、熱いバトルで白熱してもらえたらうれしいですね」

2 つの作品は、テーマとジャンルこそ似ているが、実際にプレイしてみるとその違いがはっきりと分かる。その1つが、本作のゲーム性。迫りくる敵を倒すのが目的のタワーディフェンスは、その名の通り、“防衛”がメインになりがち。しかし、本作は“攻撃”に重点が置かれており、一般的なタワーディフェンスとは一線を画す作りになっている。

「私は、タワーディフェンスというジャンルにものすごい可能性を感じていました。その可能性を形にしたいと考えて、タワーディフェンスにアクションを組み合わせると、新しいゲームが生み出せるんじゃないかと閃いたんです」

さらなる進化を遂げる『ぼくとネコ』

こうして生まれた『ぼくとネコ』は、アクションゲームに近い作りになっている。キャラクターの攻撃がヒットしたときの当たり判定がしっかりと設定されており、今後は吹き飛ばして空中に浮いた敵にダメージを与えるなど、アクション性が広がる要素の追加も考えられているという。

升田氏
「現在は体当たり、弓、魔法の攻撃を実装していますが、タメ攻撃を追加したいと考えています。攻撃パターンが増えることによって、見た目はもちろん、戦術的にも楽しみが広がると思います」

升田氏のアイデアは、アクション性のアップデートだけに留まらない。新しいゲームモードの追加も計画されており、『ぼくとネコ』はさらなる進化が期待できる。

升田氏
「今実装できているのは、最初の構想の 50% ぐらいです。ただ、構想はどんどん膨らんでいますね(苦笑)。例えば、プレイヤーどうしの対戦機能も考えていて、すでにテストプレイを行っています。対戦機能では、必殺技をどのタイミングで放つかなど、対人戦ならではの熱い駆け引きを楽しんでもらえると自負しています」

さらに驚きのアイデアも。升田氏は、タワーディフェンスゲームと謳いながら、『ぼくとネコ』に“農場経営”ができるモードを追加しようとしているのだ。

升田氏
「といっても、農場経営の機能はまだ構想段階で、実現に向けて少しずつ進めているというのが現状です。そもそも『ぼくとネコ』は、“一生遊べるゲーム”を作りたくて企画しました。バトルが楽しめるように開発してはいますが、プレイヤーの中には、ゆったりと遊べるモードが欲しい人がいるかもしれない。運営型タイトルの利点を活かして、ゲーム内の機能をどんどん充実させていきたいです」

ベテランと新人のスタッフの化学反応

升田氏のアイデアはどこから生まれてくるのか。日々の生活の中でアンテナを張り、様々なメディアや時事ネタからインスピレーションを受けているという、升田氏本人の努力の賜物であることは間違いない。さらに升田氏は、「若いスタッフといっしょに仕事をすると、いい刺激になります」と、嬉しそうに教えてくれた。

升田氏
「開発チームには、新卒で入社してくれた若い子もいます。私を含むベテランのスタッフはゲームの常識に囚われがちですが、新人の子は発想が自由なので、彼らと仕事をしていると、日々の開発の中で新しい発見があって、とても新鮮なんです」

設立して間もない会社なだけに、「資金が潤沢にあるわけでも、優れた技術力があるわけでもない」と続ける升田氏。だが、立場を気にせずにアイデアを言い合える開発現場は、ゲームをさらにおもしろくするための熱意で溢れている。

升田氏
「ただ、私たちが一度にできることは限られています。今できること。ユーザーに喜ばれること。そして私がチャレンジしたいこと。この 3 つのポイントのバランスを考えながら、ひとつずつ新要素を追加していきたいと思います」

新人とベテランが生み出す化学反応が、『ぼくとネコ』をどのようなタイトルに進化させていくのか。アップデートで変わりゆく同作から、今後も目が離せない。

ぼくとネコ
思わずクスっとするような、個性豊かなキャラクターが登場するタワーディフェンスゲーム。シンプルな操作性で初心者に易しいうえ、戦略性も高く、ゲーマーがプレイしても満足できる内容に仕上がっている。