1 人で作るからこそ生まれる、作品作りの強み

こだわりたいところをとことんこだわって作る

HZ3 Software の yuta 氏は、中学生の頃からアプリケーションを利用してゲームを開発し、ドット絵を打ち込んでいたという生粋のゲームクリエイター。長年、ゲーム制作を続けてきたが、「ある程度収入も得られて、現在ではゲーム作り 1 本で生活ができている」と、自身の生活を振り返った。

プログラムからグラフィック、サウンドなど、ゲーム作りのすべてを1人でこなす yuta 氏は、「大変」と言いながらも、「こだわりたいところを、とことんこだわれる」と、1 人作業ならではのよさを教えてくれた。

そんな彼が手掛けた『Strange Telephone』(ストレンジテレフォン)が、Google Play Indie Games Festival 2018 のトップ 20 に選出。感想をうかがってみると、はにかみながらこう答えてくれた。

yuta氏
「かなりの数の応募があると聞いていて、正直、選ばれるとは思っていませんでした。とても光栄ですね」

憧れのゲームに影響されて開発をスタート

『Strange Telephone』は、2017 年初頭にリリースされた作品で、入力した 6 ケタの電話番号によって生成されるワールドを行き来しながら、ゲームを進めていくという独自のゲーム性が SNS などで話題に。

yuta氏
「都市伝説の中で、電話を題材にしたものがあるじゃないですか。例えば、その番号にかけてみると、うめき声が聞こえたり、電子音が聞こえたり。それをゲームにしたらおもしろいんじゃないかなと思ったんです。実は、最初は部屋の中で不気味なことが起こるだけだったんですけど、それだとちょっとインパクトに欠けるなと。ある時期に切り替えようと思い、ワールドを自動生成するという発想に至りました」

『Strange Telephone』を開発するきっかけとなったのは、アドベンチャーゲームの『ゆめにっき』にあるという。『ゆめにっき』は、摩訶不思議な夢の中を歩き回る内容で、独特な世界観、高品質なサウンドが多くのユーザーの心を掴み、動画投稿サイトを中心に爆発的な広がりを見せた。『ゆめにっき』のような作品を「自分で作ってみたい」という思いから、yuta 氏は『Strange Telephone』の開発に着手したそうだ。

最初にキャラクターや電話を使うという基本的な骨組みを決め、そこから徐々に肉付けしていく形でゲームの開発を進めていった。しかし、『Strange Telephone』の核となる要素のワールドの自動生成機能が、yuta 氏を大きく悩ませた。

yuta氏
「ワールドの生成を制御するにはどうしたらいいかをすごく悩みました。結果的に、6 ケタの番号で、他のプレイヤーと同じ番号にかければ同じ世界に辿り着けるようにしました。 SNS で情報を共有したりして、うまく攻略させるという環境作りにとにかく力を入れました」

6 ケタの番号から生み出されるワールドは、それぞれ雰囲気も違えば、そこで流れる音楽も違う。yuta氏はその 1 つ 1 つをすべて 1 人で制作。「この作品に関しては、すべて自分で世界観を統一したいという思いがありました」という熱いこだわりが、『Strange Telephone』に詰め込まれている。

全く新しいジャンルの新作にも挑戦中

yuta 氏は現在、“LOVE2D”( LUA 言語ベースのゲーム作成用のフレームワーク)から、“Unity”という別のゲームエンジンへの移植作業を進めている。これにより、ゲームをより遊びやすくするだけでなく、ワールド内を自由に動けるようになるなど、多彩な要素に手が加えられているという。

また、yuta 氏は別のタイトルを開発にも着手している。新作は『Strange Telephone』と同様に、ドット絵で世界が構築された“ダークファンタジー”系の雰囲気になるそうだ。

yuta氏
「いままさに、『Parasite Seed』(パラサイトシード)という 2D アクションゲームを制作中です。タイトルのとおり、種を使ったアクションが特徴的で、体内に寄生する種を、弾として撃ったり、壁や敵に埋め込んだりしながらステージを進めていきます。1 人でやっているので、年内のリリースは厳しいですが、なるべく早く、皆様に遊んでいただけるようにがんばります」

新作タイトルでも、yuta 氏の生み出す独特な世界観は健在。“こだわりたいところを、とことんこだわる”という彼の情熱が、次回作でも多くのユーザーを魅了することを願いたい。

Strange Telephone
6 ケタの電話番号を入力するごとに、自動生成される不思議なワールドを旅する 2D アドベンチャーゲーム。アイテムを回収したり、謎を解明していき、奇妙な空間から脱出することが目的。ゲーム中の行動によってストーリーが分岐するマルチエンディングシステムが採用されている。