旅から“帰る”。そのジョークからすべては始まった

少数精鋭が生み出した『旅かえる』

猫を呼ぶためにエサやグッズを用意して、猫が来るのを待つ。そんなまったり放置ゲーム『ねこあつめ』でスマッシュヒットを飛ばした Hit-Point が贈る最新タイトルが『旅かえる』である。

高崎氏
「軽い気持ちというか、条件に合うから出しておこうという感じでエントリーしたのですが、こんなにそうそうたるゲームの中に入れたのがビックリです」

Hit-Point のプロジェクトマネージャー、高崎豊氏は笑顔でそう答えた。Hit-Point は少人数体制で開発を行っているとのことだが、本作はどんな環境のもと生まれたのか。『旅かえる』のプランナーにして企画・立案者である上村真裕子氏に訊ねた。

上村氏
「開発所は京都にあるのですが、会社の中で少人数のチームに分かれて作業をしていまして、みんなコツコツ、黙々と開発に勤しんでおります。『旅かえる』は、そうした静かな環境で作られたので、こうしてにぎやかな環境に出られるのは新鮮ですね(笑)」

高崎氏
「ちなみにチームは 6 人で、『旅かえる』に携わっているのが 4 人です」

コアなゲーマーじゃない、ライトユーザーを取り込むロジックを展開

かなりの少人数で生み出された『旅かえる』の魅力について、高崎氏は「このゲームは、ふだんゲームをしない人にも遊んでもらいやすい、あまりゲームらしくないゲームになっています。それが魅力の 1 つになるのかなと思います」と分析する。一方で上村氏は、「今はお仕事だったり、いろいろなゲームを遊ばれていて忙しい方が多いと思うので、ライフスタイルを乱さない程度にのんびり遊べるゲームを作っています」とも。

本作は『ねこあつめ』同様、放置ゲームで、上村氏のいう通り、ライフスタイルを乱すほど長時間張り付くような作品ではない。プレイしている時間が短いなか、どのようにしてプレイヤーの興味を抱かせようと考えたのか。

上村氏
「以前にリリースした『ねこあつめ』では、猫の“あるある”や猫の知識だったりと、猫飼いの方に喜ばれる内容になっていました。今回は実際にある観光地などを舞台にしているので、ゲームをふだんしない方でも、かえるが持って帰って来たお土産や写真を見れば『この場所行ったことある!』、『見たことある!』といった風に感じてもらえるかなと。そうしてゲームの範疇を超えて楽しんでいただければ、面白いんじゃないかと考えたんです」

そうした上村氏の狙いは見事に当たったようで、高崎氏は「今回は特に“旅”に言及して作っているので、旅好きな方や観光地巡りが好きな方から共感を得ています」と、現在の『旅かえる』の状況を教えてくれた。題材に“かえる”を選んだ理由について上村氏は、「旅を目的にしたゲームにすることはあらかじめ決まっていたのですが、旅から帰ってくるので“かえる(帰る)”にしたいなというジョークからです(笑)。それと、かえるというキャラクターが他のゲームではあまり使われていないことや、かえるは旅行などでお守りに使われる縁起のいいキャラクターなので採用となりました」と、教えてくれた。

上村氏
「旅に出たかえるがいつ帰ってくるかはわかりません。数十分で帰ってくることもあれば、長いと 4 日ほど帰ってこないこともあります。旅の途中で写真が送られてきたときは、「今こんなところにいるのか」と思いながら、ワクワクしながら帰りを待っていてください。
Twitter やインスタグラムといった SNS にかえるの写真をアップすることもできるので、趣味が合う旅好きの友だちに見せるなど、待ち時間を楽しんでもらえるとうれしいです」

いろいろな人に楽しんでもらいたい。その想いがゲーム作りの原動力にく

全国各地を旅して回るかえるの様子を見守りながら、ユニークな写真や各地の名産品をコレクションして楽しめる本作について「まだ『旅かえる』は 2017 年の 11 月に始まったばかりなので、これからもかえるの旅する場所を増やしていきたいですね」と高崎氏は口にする。さらに「もし新作を作るなら、やっぱりいろいろな人に遊んでもらえるものを念頭に置きたいですね。誰でも触れて、ふだんゲームをやらない方がゲームを遊ぶきっかけになるようなものを作っていきたいです」と、作品を生み出す際の考えを明かしてくれた。

イベントに参加してほかの開発者の作品に触れたり、実際に開発者やユーザーと直接的にコミュニケーションを取ったり、反応を見られる――。新しい発想や刺激をたくさんもらえるこうした機会は、とても貴重だと語った 2 人。旅好きのかえると同じく、2 人の飽くなきゲーム開発の旅はまだまだ続く。

旅かえる
かえるに旅行のしたくをして旅に送り出し、のんびりと帰りを待つ放置ゲーム。旅に出たかえるは道中の様子を写真にして送ってきたり、帰宅した際には訪れた先のお土産をくれたりするので、そうしたものをコレクションして楽しむこともできる。