ゲームが苦手だったからこそ生まれた発想とパワー

苦手意識から一転。いまではゲーム作りに没頭

「Google Play Indie Games Festival 2018 への応募は、知人から勧められたのであって、意識はしていなかったんです。だから、トップ 20 に選ばれた瞬間は、うれしさもありましたが、驚きのほうが大きかったですね」

そう語るのは、沖縄の那覇にオフィスを構えるハラペコーポレーションの代表取締役を務める江田里美氏。じつは江田氏には、ゲームに苦手意識があったという。

江田氏
「もともと全然ゲームと関係ない会社で働いていたんです。そこで社長に新しい企画をやりたいと言ったところ、『ゲームを作ってみない?』と勧められて、ゲームを作ることになって……。ですが、私はゲームが難しいものだと思っていて、苦手意識があったんですよ。それならばと思って、私と同じようにゲームが苦手と思っている人向けのゲームを作ろうと考えました」

当時勤めていた会社の社長の一声で、突然始まったゲーム制作。同じ会社で働いていた仲村優太氏も制作に加わり、2 人での活動が始まった。しかし、当然ながら 2 人ともゲーム作りの知識はゼロ。イチからゲーム制作を学びながら、開発を進めていった。仲村氏は、「大変でしたけど、ゲーム作りを楽しんでいたので、苦ではありませんでした」と当時の様子を振り返る。

そんな 2 人が最初に作ったゲームが『Sense 体内感覚』。体内感覚を測るという至ってシンプルなゲームだが、リリースから数日して、大きな反響を呼ぶことになった。

江田氏
「当初のゲーム作りのコンセプトが、ユーザーに受け入れられたんだと感じました。ですのでそれ以降も、基本的にはゲームが苦手な人でも簡単に楽しめるゲームを作っています」

視覚的な楽しさだけでなく、遊びやすさも追求

Google Play Indie Games Festival 2018 でトップ 20 に選出された『ねこかわいい ぼくゆうれい』は、タイトルのとおり、とにかく猫がかわいく描かれている。

江田氏
「猫を題材にしたゲームはたくさんありますけど、猫がデフォルメされているものが多いんですよね。私も猫が好きなんですけど、もっと猫っぽい形が見たいなと思って、このデザインにしました。動きをどれだけ猫っぽく見せるかにこだわって作っているので、ぜひそこにも注目していただければ!」

猫が大好きだという 2 人だが、江田氏は「じつは私、猫アレルギーで……」と照れ笑い。それでも猫への愛情は人一倍強く、「 23 種類の猫が登場するんですけど、本当はもっと増やしたかったんです。でも、猫のアニメーションを細かく書きすぎて、容量が重くなってしまったんですよね」と悔しそうに語っていた。

もちろん、かわいらしい猫を見て、それを楽しむだけのゲームではない。メインとなる画面にコメントが流れてきて、ゲームの進め方や猫に関する豆知識が、自然に頭に入ってくる仕組みが導入されている。

仲村氏
「なるべく、ゲーム中にプレーヤーが『どうしたらいいんだろう』とならないように、コメントを流して教えてあげたりして、すんなりとゲームが進められるように気を配りました。猫を見るのに集中できるように、それを第一に考えながら作りましたね」

江田氏
「いわゆる放置ゲームと言われるものは、暇になる瞬間がどうしても出てきてしまいます。そういった瞬間に、トマトの果肉はいいけど茎は与えてはダメ、ラベンダーの匂いだけで死んでしまう猫もいる、といった猫に関する豆知識を知ってもらえればなと。ゲームをしながらついでに知ることで、そういった事故を防げれば、なお嬉しいですね」

人生に良い影響を与えるようなゲームの制作を目指す

そんな猫への愛が溢れる『ねこかわいい ぼくゆうれい』は、現在は、さまざまな言語へのローカライズ作業が進められている。「世界各国の猫好きに届けたい」というのが、2人の思いのようだ。最後に今後の展望について伺ったところ、こんな答えが返ってきた。

江田氏
「『ねこかわいい ぼくゆうれい』のように、誰でも簡単に楽しく、遊んでくださるユーザーさんに対して何か人生に良い影響を残せるようなゲームが作りたいなと思います」

仲村氏
「人生は大変なので、すぐに成功するということはあまりありません。こういう小さなゲームを通して、成功をイメージできるようなものを提供していけたらなと思っています」

独特な世界観ながら、誰でも楽しく遊べる作品を生み出し続けるハラペコーポレーション。今後の作品にも期待が高まるばかりだ。

ねこかわいい ぼくゆうれい
ゆうれいとねこの不思議でほのぼのとした共同生活を送るゲーム。猫に餌をあげたり、家具を部屋に配置して、猫を集めていく。置いた家具によってさまざまな猫の姿が見られるのが特徴。江田氏のオススメの猫は“わさび猫”だとか。