気の合う仲間と作品を作る。これぞIndie Game の醍醐味

パズルゲームと寿司好きが高じて生まれた名作

『Peko Peko Sushi(ペコペコスシ)』のプログラマーを務めたアルヴィン・フー氏は、中国系のアメリカ人。彼のパートナーでイラストを担当した HARA 氏曰く、「ゲーム大好きっ子」というアルヴィン氏は、アメリカのゲーム会社に就職後、6年前に来日。かねてから憧れていた、日本のゲーム業界で働くという夢を実現させた。さらに、とあるイベントで HARA 氏と運命的な出会いを果たす。

HARA 氏
「そのイベントに、僕は寿司のドット絵の4コママンガを描いて参加していました。僕の絵を見たアルヴィンが、『いっしょにゲームを作りませんか』と声をかけてくれたんです」

HARA 氏のイラストを見て、「新作のインスピレーションを受けた」というアルヴィン氏。生まれた国も年齢も異なる 2 人は、意気投合してゲーム開発のパートナーに。「 80 年台と 90 年台のアーケードのパズルゲームが大好き」というアルヴィン氏のアイデアと、2人とも「寿司に目がない」ということで、回転寿司をテーマにしたパズルゲームを開発することに。こうして生まれたのが、『Peko Peko Sushi』である。

面白いゲームを生み出す秘訣は絶対に断らないこと

アルヴィン氏と HARA 氏は、「回転寿司をモチーフにしたゲームがあまりない」、「寿司は共通の単語として海外の人にも通じる」という点も、『Peko Peko Sushi』を開発する決め手になったと教えてくれた。本作は回転寿司をモチーフにしてはいるが、ゲームならではのアレンジも加えられている。

HARA 氏
「回転寿司はレーンが回りますが、本作の寿司は土管をワープして出てきます。こうすることで、パズルゲームとして成立しますし、見た目も面白くなる。ほかにもお客さんが帰ると売り上げ(スコア)がマイナスになったり、同じ皿を重ねてコンボを狙ったりできます。どちらもリアルの回転寿司ではありえませんが、ゲームのアレンジとして面白いと思ったアイデアは、積極的に取り入れるようにしています」

2 人の開発スタイルは、“基本的に断らない”がモットー。お互いに褒め合い、自分たちが楽しいと思う理想の作品に仕上げていく。アイデアを出しやすい雰囲気が、自由な発想を次々に生み出す要因にもなっている。その 1 つが、すでに 50 種類以上は実装されているという“寿司ネタ”である。

HARA 氏
「本作は寿司ネタがパズルになっているので、視認性をよくするために、赤色、緑色、青色、黄色、白色の 5 つに分類してネタを考えるようにしています。ただ、青色の寿司ネタは青魚ぐらいしかなくて……。苦肉の策で、キャビアやアイスキャンディーを入れました(笑)」

一部の回転寿司ではお馴染みの変わり種だが、本作ではゲームならではのユニークなネタが実装されているというわけだ。また、より多くの女性にプレイして欲しいというHARA 氏は、寿司のデザインにも強いこだわりがある。「とにかくカラフルでポップに、かわいらしいデザインにしています。種類は多いですが、統一感も大事にしていますね」と教えてくれた。

寿司ネタは見た目だけでなく、説明のテキストにも遊び心が満載。本作は英語版と日本語版でテキストの内容を変えており、外国人向けには寿司ネタを丁寧に解説しているが、日本人向けには一般常識の代わりに雑学ネタが盛り込まれているそうだ。いわゆる“カルチャライズ(配信先の文化に合わせて、言語以外も含めて調整すること)”が行われており、より多くの人が楽しめる内容に仕上がっている。

ゲームならではの面白さを追求していく

細部へのこだわりが感じられるが、Google Play Indie Games Festival 2018 の出展を優先させるために、配信時には見送った要素もあるという。今後、アルヴィン氏がまず実装したいと考えているのが、スマートフォンの天気の情報とリンクさせて、来店する客層が変化する要素だ。

アルヴィン氏
「例えば、実際に雨が振ったり、寒かったりした日は、客足が遠のくようにしたいです。あとは金曜日になると、プレミアムフライデーの影響でサラリーマンが多く来店するのも面白いと思います」

HARA 氏
「寿司ネタだけではなく、お客さんや内装のバリエーションも、もっと増やしたいですね。3D と比べて、2D は数を増やしやすいのが強みです。お客さんの中には、僕らや Indie Game の開発仲間をモデルにしたキャラクターもいるので、アイデア次第でたくさん生み出せると思います」

アルヴィン氏が遊び応えのあるゲームを作りたいがゆえに、現在のゲームの難易度は難しく設定しているそうだが、今後は子供も楽しめるように、易しいモードの実装も検討しているという。お互いに褒め合い、それぞれの長所が活かせる最高の開発環境の中で、『Peko Peko Sushi』はさらに面白く進化していくに違いない。

Peko Peko Sushi
回転寿司をモチーフにしたパズルゲーム。次々と来店するお客のニーズに合わせて、寿司を提供しよう。複数のお皿を重ねて提供すると、コンボが成功してスコアがアップ。さらに、スタッフや店の設備を入れ替えるカスタマイズ容姿も充実している。