アプリを起動すれば、そこはめくるめく昭和の世界

大人気の『懐かしの昭和シリーズ』の最新作

井村氏
「“お腹も心もあったまる”というキャッチコピーで、このゲームをリリースさせていただきました」

『思い出の食堂物語 ~心にしみる昭和シリーズ~』を手掛けた株式会社 GAGEX 。その代表取締役、井村剣介氏は柔和な態度でそう答えた。本作はタイトル通り、昭和の匂い溢れる古きよき時代を、食堂を通して疑似体験できる作品。GAGEX が企画をメインに、グラフィックやプログラムを開発会社 2D ファンタジスタが担当と、2 社の共同制作によって本作は産声をあげた。

井村氏
「我々は『心にしみる育成ゲーム「昭和駄菓子屋物語」』というゲームをリリースして以来、懐かしいものや心に染みるものを作ろうと、『懐かしの昭和シリーズ』という作品を 4 年ほど前から作ってきました。今回は食べ物というか、レストランを題材にしたゲームを作ってみたいなと思い、分かりやすいところで、食堂が舞台になりました」

井村氏は、本作を作ったきっかけをそう語る。これまでにも昭和を舞台にした作品を多数手掛けているだけあり、本作の雰囲気作りもまさに熟練の技。これぞ昭和といったノスタルジックなテイストに存分に浸ることができる。

料理を提供し、お客の心をつかんでいく交流が魅力

井村氏
「このゲームは、懐かしの昭和の雰囲気の中で美味しいものを食べて幸せな気持ちになるというのを体感できるところが魅力で、シナリオもハートウォーミングなものになっています。シナリオはかなり頑張って書いているので、なかなか読み応えのあるものになっていると思いますよ。悩みを抱えた女子学生といったお客さんたちにも好みがあって、その料理にまつわるエピソードが楽しめたりするんです」

本作は店にやってくるお客に料理を提供する、配膳ゲームのような面も持つが、メインとなるのはアクション性ではない。配膳ゲームはひっきりなしに注文するお客に、いかに素早く配膳できるかといったタイムアタック的なものが多いが、本作はあくまで料理を提供しているうちにメニューのレシピが増えていき、そうした料理を出していくことでお客との人情味溢れるやり取りやエピソードが楽しめる点が主軸だ。

井村氏
「レストラン経営ゲームって結構あると思うのですが、お客ごとにシナリオがあって、エンディングがある作品はあまりないのかなって感じていたんです。いろいろな料理を提供して、店を拡張するシステムを楽しみながら物語が進んでいくというのが、本作ならではの新しい点だと思います」

井村氏は、本作の 1 番のアイデア部分についてそう述べた。どんな料理を提供し、店を切り盛りしていくか考える面白さと、ストーリーを読み進める楽しさ。確かに異なる 2 つの醍醐味がうまく合わさり、温かみのあるグラフィックなどと相まって独特の雰囲気がにじみ出ている。実際、そうしたものを感じているユーザーは多いようで、ゲームで遊んだ人には好評の様子。日本のみならず海外の層にもウケがよく、「本作はローカライズもしているのですが、英語版と中国語版で好評いただいております。可能であれば、もっと広い地域の方に遊んでもらえればと思っています」と、展開の拡大も視野に入れている。

井村氏
「ユーザーさんのレビューなどでは、もっとキャラクターを増やしてほしいなどの声もいただいています。人気が続くようでしたら考えていきたいと思っていますが、そのときはバージョンアップというよりは、新たな物語として全体を作り直した続編という形で提供したい気持ちが強いですね」

井村氏が思い描く、今後の作品作り

意見を参考にしつつ今後の展開も見据える井村氏だが、『懐かしの昭和シリーズ』以外の作品作りにも関心を寄せ、「このシリーズはユーザーさんに愛されていると手応えを感じていますので、ずっと作っていきたいと考えています。一方で、そうじゃないものにもチャレンジしていきたい気持ちもあり、常に両軸でやっていきたいですね」と、自身の考えを口にした。「うちの作品は、基本的に物語を読んでいただくものが多いので、そうではない形のゲームを作ってみたいです。非言語でありながら、世界観をしっかり感じられるゲームとか……。これまでにやってきたことのないものにも興味があります」と、チャレンジングな姿勢も見せた。

十八番である“昭和”のノスタルジックなゲーム作りに長けた井村氏が、今後どんなアプローチで新たな昭和テイストの、または未知なる新作を生み出すのか。どんなものであれ、心に沁みる作品になるであろうことは想像に難くない。

思い出の食堂物語 ~心にしみる昭和シリーズ~
時間に縛られず、のんびりと食堂を運営できる放置型ゲーム。舞台はおばあちゃんが切り盛りする昭和の食堂。お店にやってくるお客さんたちに様々な料理を提供しながら、彼らとの心温まるストーリーを楽しもう。