囲碁をモチーフにしたゲームを作る。長年の夢がカタチに

囲碁の面白さをゲームで表現したい

CFlat の大北尚永氏は、子供の頃から囲碁に夢中。大の囲碁好きが高じて、ゲームの面白さの虜となり、やがてゲーム開発者としての道を歩き始める。そして、同社で鴨林広軌氏と出会った大北氏は、囲碁をモチーフにした『Enblox(エンブロックス)』の開発に着手した。

大北氏
「囲碁のようなゲームを開発するのは、僕にとって長年の夢でした。それが実現できた『Enblox』は、一番の自信作です!」

彼の自信を裏付けるように、『Enblox』は Google Play Indie Games Festival 2018 でトップ 20 に選出された。「こういうイベントに応募するのも、参加するのも初めて」という大北氏は、「評価されたのがとにかくうれしいです」と誇らしげだ。

『Enblox』でディレクターを務めた鴨林氏も、「トップ 20 の受賞を機会に、( 同作の ) Android 端末ユーザーがさらに増えてくれるのではないかと期待しています。スマートフォンのゲーム業界がレッドオーシャンになっている今、マーケティングに潤沢な予算を充てられない我々にとっては、こういうイベントを通してより多くの方に『Enblox』を知ってもらえるのは、とても意義があることだと思う」と喜びを口にした。

囲碁のルールをシンプルに分かりやすく

だが、『Enblox』の開発は順風満帆とはいかなかった。開発当初、2 人の頭を悩ませたのが、囲碁のルールという“制約”である。そもそも囲碁は、黒と白の碁石と、碁盤を使って遊ぶ陣取りゲーム。そのルールは、2 人のプレイヤーがお互いに陣地を広げあい、碁石で囲った陣地の大きいほうが勝ちというシンプルなものだが、とても奥が深い。

大北氏
「囲碁はチュートリアルに 3 ヵ月はかかると言われています。敷居が高いせいなのか、囲碁の人口はどんどん減っているので、囲碁好きとして何とかしたいという思いもありました。チュートリアルをいかに短くできるか。そして、囲碁の世界の広さを維持しながら、どこまでルールをシンプルにできるのか。この 2 つが作品のカギでした」

『Enblox』は、自分の陣地が一目で分かるように、オセロのように色で判断できる仕様を採用。さらに、「碁石ではなく、T 字や L 字などのブロックを置いて陣地を広げていくというルールにより、囲碁の複雑さを緩和できたと思います」と、大北氏は自信をのぞかせた。だが、ルールに関してパートナーの鴨林氏から注文が入る。

鴨林氏
「陣地の色分けと、ブロックを置くのは分かりやすくてよかったんですが、ほかのところでは囲碁という制約に縛られ、ルールが複雑になっていると感じました。それで、もう一度ルールを考え直そうと提案したんです」

紙でいくつものブロックを作り、実際にプレイしてゲームとしての完成度をシミュレーションしていくうちに、やがて2人は「ルールの穴にも気づいた」という。

大北氏
「 T 字や L 字などのブロックを置いた場所が自分の陣地になるというルールだと、ゲームが成り立たなくなってしまうんです。その解決策として、“旗”の場所にはブロックを置けないというルールを作りました。このルールを取り入れることで、ゲームが成立するようになったうえに、ルールがスッキリして分かりやすくなりましたね」

“旗”の実装は、2 人が『Enblox』に手応えを感じた瞬間だった。そこから開発はスムーズに進んでいったが、オンライン対戦の要素を実装するとき、再び暗礁に乗り上げる。

大北氏
「世界中のプレイヤーとリアルタイムでオンライン対戦が楽しめる要素は、当社にとって初めてのチャレンジでした。テストのときにいろいろな問題が発生して、とにかく大変だったのを覚えています(苦笑)」

ストーリー性の導入でさらに広がるゲームの世界

いくつもの苦難を乗り越え、無事に配信された『Enblox』は、アジア圏を中心にワールドワイドで展開。鴨林氏は、「どの国の方でも楽しめるように、文字を少なくしてシンプルなデザインを心がけました。直感的な遊びやすさにもこだわっていて、大人はもちろん、子供でも楽しめるように設計しています。今後、ユーザーの層が増えれば、新たな戦術がどんどん生まれて、ますます盛り上がると思います」と期待を膨らませた。さらに 2 人には、『Enblox』で今後実装したい機能もあるとか。

鴨林氏
「現状はシンプルに作っているがゆえに、プレイヤーは感情移入しにくいという問題があります。そこでゲームにストーリーを入れたいと考えています。まだ構想段階ですが、例えばキャラクターがブロックのデッキを使うことにすれば、デッキごとにキャラクター性が生まれますし、そこからストーリーを膨らませられます。それにキャラクターに依存したスキルなど、特別な能力もデッキに実装できると思います」

大北氏
「こういうデッキを持ったキャラクターだから、こういう戦い方をする。遊んでくれた方が想像を膨らませて、対戦がより楽しめるような作りにしたいですね」

『Enblox』の完成度をさらに高めたい。2 人の飽くなき挑戦は続く。

Enblox
リアルタイムで対戦が楽しめる、陣取りパズルゲーム。様々な形のブロックを盤面に置いて、対戦相手よりも陣地を増やそう。基本的なルールはシンプルながら、特殊なブロックを使って陣地を一気に広げられるなど、奥深い戦略も楽しめる。